最近は私自身を含め、付き合う友人たちもアラサーとなり、飲み放題のビールをがぶ飲みして雰囲気を楽しむよりも、アルコールの高い日本酒やウイスキーと言ったお酒そのものを少量、楽しむ友人が周りに増えてきました。

ただ美味しいと感じた日本酒を見つけても、日本酒ラベルの記載事項は、聞きなじみの薄い言葉が並んでいたり、そもそも日本酒の種類が多くて分かりにくいと感じる事もあるかもしれません。

今回はそんな方に向けて、日本酒の種類や名称の違いと特徴を分かりやすく解説します。

日本酒の種類はいくつ?

前述の通り、日本酒ラベルの記載事項は馴染みのない言葉があるなど、少し分かりにくい記載となっていますが、基本的には「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」の3種類の区分ができます。

これら日本酒の種類や名称の違いが分かると、

メリット
  • 日本酒のラベルから味の傾向を想像できる
  • お気に入りの日本酒の特徴を把握するのに役立つ
  • 旅行先でも地酒を楽しめる

など多くのメリットを私自身感じます。

ここからは、「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」の3種類についてより深堀りをしていきます。

「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」を整理しよう

「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」について整理と言いながら、前置きをさせて下さい。

まず日本酒とは、酒税法上はお米を濾して作る「清酒」の事を指します。 さらにこの「清酒」は、「特定名称酒」とそれ以外に分けられます。

「特定名称酒」は名前の通り、特定の名称が与えられている清酒の事で、原料や精米歩合の要件を満たす事で「特定名称酒」をラベルに記載する事ができます。 また「特定名称酒」以外の「清酒」は通常、「普通酒(一般酒)」と呼ばれます(↓左グラフ参照)。

出典:農林水産省-日本酒をめぐる状況より抜粋

「特定名称酒」がさらに「吟醸酒」「純米酒」「醸造酒」の区分に分かれていきます(↑右グラフ参照)

そしてここからいよいよそれら名称の違いと特徴について見ていきましょう!

「純米酒」と「本醸造酒」の違い

これら呼称の違いは原料にあり、「醸造アルコール」の有無です。
「醸造アルコール」とは、とうもろこしなどのでん粉質物や含糖質物から醸造されたアルコールです。

※「本醸造酒」に含まれる「醸造アルコール」の量にも規定があり、白米の重量の10%以下に制限されています、それ以上の「醸造アルコール」が添加された場合、「普通酒」の扱いとなります。

「純米酒」と「本醸造酒」の原料
  • 「純米酒」・・・米/米麹/水
  • 「本醸造酒」・・・米/米麹/水+「醸造アルコール」

また「純米酒」と「本醸造酒」の特徴の大きな違いは味わいにあります。 種類も豊富なため、一概には言えませんが、一般に「純米酒」はお米由来の原料の割合が多いため、味わいが濃厚で旨味が感じられ、「本醸造酒」は醸造アルコール入っている分、味わいはスッキリとしている傾向があります。

味わい以外の「醸造アルコール」の効果として、清酒の香味を劣化させる乳酸菌(火落菌)の増殖を防止する効果もあります。

「吟醸酒」と「本醸造酒」の違い

これら呼称の違いは原料にあり、「精米歩合」です。

精米歩合とは、白米のその玄米に対する重量の割合をいいます。精米歩合60%というときには、玄米の表層部を40%削り取ることをいいます。

 米の胚芽や表層部には、たんぱく質、脂肪、灰分、ビタミンなどが多く含まれ、これらの成分は、清酒の製造に必要な成分ですが、多過ぎると清酒の香りや味を悪くしますので、米を清酒の原料として使うときは、精米によってこれらの成分を少なくした白米を使います。ちなみに、一般家庭で食べている米は、精米歩合92%程度の白米(玄米の表層部を8%程度削り取る。)ですが、清酒の原料とする米は、精米歩合75%以下の白米が多く用いられています。特に、特定名称の清酒に使用する白米は、農産物検査法によって、3等以上に格付けされた玄米又はこれに相当する玄米を精米したものに限られています。

国税庁-「清酒の製法品質表示基準」の概要より抜粋
「吟醸酒」と「本醸造酒」の精米歩合
  • 「本醸造酒」・・・「精米歩合」70%以下
  • 「吟醸酒」・・・「精米歩合」60%以下
  • 「大吟醸酒」・・・「精米歩合」50%以下

また精米歩合が60%以下の本醸造酒は、「特別本醸造酒」という名称も使用できます。

特定名称酒の表示を整理

これまでの内容を整理すると下記の8種類に整理ができます。

1度整理するとよく分かるのですが、50%の精米歩合で、米、米麹を原料とする日本酒は、「純米酒」「特別純米酒」「純米吟醸酒」「純米大吟醸酒」の4つの名称のいずれも使用できるため、似たような原料でもラベルに記載されている名称は異なる事があり、分かりにくくなっているのです。

特定名称酒以外の表示

特定名称酒の表示基準以外にも、様々な呼称があり、それら呼称がそのまま日本酒の特徴を表している事もあります。割と多い頻度で目にする名称をまとめました。

生酒・生貯蔵酒・生詰め酒

一般的に日本酒は貯蔵の前と瓶詰の前にそれぞれ1度ずつ計2回の火入れ作業を行います。
火入れ作業の目的は、日本酒内の酵素の働きを止めたり、火落ち菌と呼ばれる有害な微生物の殺菌です。

そして、「生」を冠する日本酒は、火入れ作業を行っていない事を表します。

生酒・生貯蔵酒・生詰め酒
  • 生酒:生特有の香りと新鮮な味わいがするが、火入れを行っていないため、保存には十分気を付ける必要がある。
  • 生貯蔵酒:生酒に似た、新鮮な味わいになる傾向がある。
  • 生詰め酒:春頃に1度火入れ作業をして、秋頃に出る「ひやおろし」に多い。

無濾過生原酒

こちらは最近よくラベルに記載があり、人気が出ている印象があります。

  • 「無濾過」=濾過をしない
  • 「生」=火入れをしない
  • 「原酒」=割水をしない

といった日本酒に使用される名称です。

因みに割水とは、完成した日本酒のアルコール度数や味わいを整える事を目的に水を入れる事です。
「原酒」は割水を行っていないため、アルコール度数が高い傾向があります。

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